2022.12.09
──小栗さんはいま、かなりゴルフをされているとお聞きしましたが、ゴルフを始めたのはいつごろですか。
僕は19歳から23歳くらいまでアメリカのボストンに留学していたんですけど、そのときが最初ですね。アメリカではプレー料金が安かったですから、諸先輩方が行くぞと言って、クラブをくれたんです。そういえば当時、僕の家の裏のゴルフコース(ザ・カントリークラブ)でライダーカップ(1927年から2年おきに行われているアメリカ対ヨーロッパの対抗戦)も行われましたね。ガラガラと手引きカートでプレーしていた僕たちには高級すぎて、とても回れるようなコースではありませんでしたが。僕が住んでいたところは、普段は人がいないんですけど、ライダーカップのときだけ、ここはディズニーランドですか?というくらい人がいました(笑)。
──そのころからずっと、小栗さんはゴルフに熱中されているわけですか。
いえ、ボストンでの僕は、本当になんとなくゴルフに行っていたという感じで、24、25歳で日本に戻ってくると、今度はプレー代が高いからなかなか回れなくなるわけです。アメリカでは20ドルで回れていましたから。それでしばらくやっていなかったんですが、40歳くらいのときでしょうか、仲間内でちょっと一回真剣にゴルフやろうよという話になったんです。たまたまそのなかにプロゴルファーの子もいて、「それだったら僕、教えますよ」と言うので、みんなでいっせいに始めたんですよね。同世代で7、8人でしょうか。2組で回れるくらいの人数で始めて、いまに至るという感じです。
──小栗さんのプレースタイルは、どんな感じなのでしょうか。
僕は、完全にエンジョイゴルファーです。楽しく回るのがいちばんかなと思っていますね。周りの人間もそうです。ミスしたとき、「あああー」とか声は出ますけど、機嫌は悪くならないようにしようと思ってやっています。弟(俳優の小栗旬さん)やオヤジ(舞台監督の小栗哲家さん)と一緒に回ることもありますよ。2人ともけっこう真剣なタイプ。3人で回ると、だいたい僕がいちばんふざけていて、最後は怒られるという感じです(笑)。「お前、うるさい」と。
──ゴルフギアにこだわりのようなものはありますか。
もともと、あまりこだわりはなかったですね。こだわりたいと思っても、ゴルフクラブってそんな安いものではないですし、20代そこそこではそんなにお金もかけられないじゃないですか。そんなこともあって、いまだに道具はあまり気にしていないです。
──ウェアに関してはいかがですか。
ウェアもそうですね。ただ、意外と神経質なところがあるので、アドレスに入ったときにどこかがつるとか、そういうことがあるとすごく気になるということはありました。でも、いまはトラヴィスマシューのウェアを愛用しているのですが、このブランドに出合ってからは、そういう気になる部分がいっさいなくなったので、非常にありがたいなと思っています。それに、トラヴィスマシューの商品って、すごくシンプルじゃないですか。僕はあまり派手なものを着るタイプではないので、そこに関してもいいなと思っているんです。名門コースでも大丈夫ですし、カジュアルなゴルフ場でももちろんいいですし、そのまま街にもけたりもしますしね。周りの知り合いにも、「買ったよ」なんて言ってくる人たちがいて、意外と普段着で着ている人も多かったりします。そこは、このブランドのいい点ですよね。
──いま、小栗さんにとってゴルフはどんな存在なのでしょうか。
通常は、劇場とか暗いところで仕事をしていることが多いので、外に1日いるというのは精神衛生上も非常に良くて、すごくリラックスする部分かなと思いますね。大人になると、今度遊ぼうよという話をしても、じゃあ何をして遊ぶかとなるじゃないですか。それで、だいたい飲みにいこう、ご飯食べにいこうとなって、夜になり、朝5時くらいまで飲みすぎたりする。そういうことに比べると、朝5時に起きて、一緒にコースに行ってラウンドして、早めにご飯を食べて、早めに解散するみたいなところが、僕の良いサイクルをつくってくれています。仕事でも朝5時まで台本を書いていたりすることがあり、気絶して寝るようなところがあるんですけど、ゴルフに行ったあとは健やかに寝られるというか(笑)。体も疲れているし、本当にそういうところでリフレッシュする部分が大きいかなと思います。
──まさに、ゴルフがいちばんのGOODTIMESなんですね。
いまは、いちばんのストレス解消法になっていると思います。だから、趣味を聞かれたらゴルフと答えます。もっとも心地良くて、本当にできることなら毎日ゴルフをして過ごしたいくらいです(笑)。たとえば映画を見るのも、僕の場合は若干、仕事になったりするところがあります。観ているときに、「ああ、この役者いいな」とか思いはじめたり、「ああ、こういう撮り方があるんだ」と、スマホを出してメモをしたり。だから、いまいちばん無になれるのがゴルフです。僕はゴルフ場に行ったら、基本、電話を取らないようにしているんです。もう、気づかないふりをする。その点で言うと、ゴルフがいちばん逃げられている時間という気もします(笑)。
──たとえば旅行などは、どうですか。
旅も、けっこう仕事でいろいろなところに行っているためか、わざわざ行こうという気にならないところがあるんです。それに、業界で言うところのツアーで、各地での公演を回っていたりすると、たまに2時間とか3時間の空きがあって、そういったときにちょっとした観光ができたりもします。それで満足してしまう部分があるんですよね。じゃあ、温泉に行こうかと言っても、いまは、「温泉よりゴルフに行っちゃおうかな」と思ってしまいますし(笑)。
──ゴルフでリフレッシュして、気持ち良く仕事に臨んでいるということですね。
そうですね。ただ、僕は自分の仕事をやっているときも楽しいんです。悲劇とか以外は、こちらがおもしろいと思って楽しくつくっていないと、観にきた人もおもしろくないだろうと思いますし。そういう意味では、仕事もGOOD TIMESですし、ゴルフもそうです。
──お話をうかがっていると、ゴルフが楽しすぎて、新たに何かやってみたいと思っていることなどはないようにも見えますが、いかがですか。
いえ、そんなことはなくて、サーフィンもやってみたいし、ここのところやっていなかったスキーもそろそろ再開してみようかなとも思ったりしています。いままで、忙しいからこれはやらないとか、忙しいからゴルフも行けない、忙しいから次の新しいことも始められないなど、忙しいというのを言い訳にしていたところがあったのですが、最近は、その言い訳をやめて、頭に浮かんだことを全部やると思うようにしているんです。
──「時間ができたら」というようなことは、誰でもけっこうありますよね。
「また、今度」みたいなものがいっぱいありました。何かきっかけがあったらやろうとか。でも、やらないんですよ(笑)。だから、その言い訳をやめようと。年齢的に、「インスタグラムは、ちょっと……」と思っていたのですが、SNSをちゃんとやってみたり、いまは舞台関係の仕事が多いのですが、ちょっとカメラを借りて映像を撮ることを始めたりもしています。僕がアメリカに行っていたのも、もともと映画監督になりたくて行っていたわけですからね。ただ、釣りだけは船酔いが心配で、簡単に行くとは言えないところがあるんですが。髪の毛もそうです。いろんなことを試してみたくなって、去年はひと月ごとに髪の毛の色を変えていました。それでわかったことは、僕にはブルーとグリーン系はダメだということ。それとシルバーも、この歳になると白髪みたいになって、ただ老ける(笑)。
──では最後に、時間ではなく、小栗さんにとってのGOODな場所を教えてください。
やっぱり、ボストンでしょうかね。じつは、日本に帰ってきて以来、一度も行ってないんですよ。たぶん、いま行ったら居心地がいいんだろうなと思います。高校を卒業して1人暮らしをしたのも、ボストンが初めてでしたし、そのころを思い返しながら回ってみたいなというのもありますね。当時は、メジャーリーグのボストン・レッドソックスの試合もよく見にいきました。本拠地のフェンウェイパークまで歩いて5分のところに住んでいたので、窓を開けているとアナウンスが聞こえてきたくらいです。じつは、フェンウェイズという名前の野球チームをつくって、フェンウェイパークを挟んだところにある、フリーで使える大きい野球場で野球もやっていました。アメリカでは硬式のボールしかないので、日本から軟球を持っていって。そうしたら、ボストン・グローブという地元紙に、「日本人が変なボールで野球をやっている」ということで取り上げられたりもしました。聞いた話だと、ボストンにいる日本人が代々引き継いで、いまもそのチームは続いているそうです。嫌な思い出もないですし、どこかにいま行けるなら、やっぱりボストン。ぜひ、ゴルフもしたいですね(笑)。
RYO OGURI
映画監督を目指しアメリカ・ボストンへ留学。帰国後、俳優として映画などに出演。俳優引退後、オペラなど舞台系イベント制作会社の取締役に就任。2007年よりシルク・ドゥ・ソレイユシアター東京の立ち上げに携わり、日本スタッフ代表を閉館まで務め、企業イベントの企画・演出・制作・進行からアクロバットショー・格闘技・演劇・クラシックコンサートの演出などジャンルレスに活動中。
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